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戦国末期の慶長五年。秀吉亡きあと、世は徳川へと移行し諸大名は家康のもとに走った。そんな風潮の最中、不敵な面魂の一人の若武者が、世の流れに背を向けて、旅立った。黒皮の陣羽織に長剣を背負った、車藤三である。その頃、会津若松の城主上杉景勝は、一人家康打倒を叫けんでいた。暴勝の男気に惚れこんだ藤三は城下に俵左内を訪ね、伊達政宗が北山川の後方に多聞山城を築き、徳川勢と上杉家の合戦の合い間に上杉領を横奪しようと企んでいることを聞き、藤三の冒険心は湧きたった。上杉方に加勢を約した藤三は、左内と五百両の軍資金を馬につけ、出城のある機屋集落へと発った。道中、二人には木樵の彦十、巫女のお千、お白粉屋長次郎の三人の部下を持った。町の情報に詳しい彼らの出現は、貴重であった。多聞山城の見える峠から、工事の様子を見た藤三は、工事の遅れと、強制的に賦役につかされている住民の姿を見...
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