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女流作家小森安江の家は夫の文吉、三十娘の音枝、二十三歳の冬太郎、七ツの夏樹の五人暮し。それに小豆島の家を出奔して来た遠縁の娘浜子がいる。桃の節句も近いある日、安江の義兄鷲兵六が、妻のおせいに出て行けと言われたと言って訪ねて来た。兵六は六十を越しているが、お人好しで身なりも粗末。三十年前、この兵六が新婚早々の文吉と安江のところへ「取引先の子だが、母親が死んだので貰ってくれ」と、抱えて来た産後間もない赤ん坊が音枝である。音枝が小学校に入る年、安江の妹小はぎは、生れて間もない男の子を残して死んだが、行先を案じた安江はその子を預った。これが今の冬太郎である。夏樹は、戦時中に安江達が仲人した夫婦の子供で、夫婦が肺病で寝込んでいるのを見兼て引取った子であった。--兵六が帰って数日後、兵六の紹介だといって斎木進という十七、八の少年が転がり込んで来た。兵六に権利金を...
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