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神戸港をはるかに見下す六甲山の中腹--古い洋館造りの田代家は冷い雰囲気に包まれていた。この家の主・東作は永年の不和から妻と離婚していた。日常の切りもりは長女の沙夷子に一切を託されていた。彼女には峰夫という弟がいた。今は家を出てしまった母は、東作が事業家でたえず不在であるところから、男関係の体がたえない女だった。そのため、東作は蜂夫が情夫の落し種と疑っていた。そんな父に、峰夫は何かと反抗的だった。東作が外にかくまっていた愛人・阿佐子を家にひき入れた。蜂夫は東作と殆ど口をきくこともなくなっていた。沙夷子には角田康之という意中の男があった。散歩の折、沙夷子は自分の気持をはじめて康之に打ちあげた。二人の仲は急速に近づいた。康之が仕事で出張するのを利用し白浜で落ち合う約束になった。しかし、康之は療養中の妻を見舞いに回って約束を違えてしまった。その夜、康之は詫び...
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