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平井明夫は下町の中学三年生だ。父親の国造は小さな工場の工員、母親のマサは内職、姉の加代も工員をして貧しい家計を助けている。国造は、工場の不況で月給も遅れがちになのに、毎日酒を飲み、競輪や競馬にうつつをぬかしていた。明夫は、そんな父親に憤りを感じるとともに、“専門学校までいった父ちゃんに日雇い仕事までさせたくない”と文句も言わず、苦しい家計をやりくりしている母親にも不満だった。学校で生徒会役員の選挙があった。成績優秀な彼は友人たちに推されて立候補し、役員に選ばれた。喜んだ親友の杉下京一は明夫を自分の家へ誘い、家族に明夫の演説ぶりを話した。その晩、楽しい夕飯をご馳走になった明夫は、食後に京一から「坂口智佐子が好きなんだろう」と言われた。国造の働いている工場が潰れた。次の仕事は中々見つかりそうもない。そのうえ加代も無理がたたって病気になり、療養所へ入ってし...
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